有機ELは良い事だらけ。折れ曲がるスマホが登場した理由

2019年 2月、サムスン電子と HUAWEIから相次いで、「折りたたみスマホ」が登場しました。

なぜ今、折りたたみスマホなのでしょう。それには、有機ELディスプレイというディスプレイの進化があります。今日のことばラジオ。「出力装置」 からこぼれ話を紹介しましょう。

液晶から有機ELへ

まず、今私達が使っているスマートデバイスやコンピューター用のモニターには、大きく2種類の映像表示方法があります。

液晶

現在一般的になっている方法で、薄型ディスプレイのことを「液晶ディスプレイ」とか「液晶」と言うほど一般的な方式になっています。

バックライトで後ろから光を照らし、そこに「液晶」という液体と固体(結晶)の中間となる物質を使って色フィルターを作ることで、色を表現するという方法です。安いコストで製造できるため、大型のモニターや格安のスマートフォンなどに採用されています。

しかし、液晶には次のような欠点があります。

  • 構造が複雑なため、加工がしにくい
  • バックライトが電力を利用するため、消費電力が大きい
  • バックライトが常に点灯しているため、黒が明るめになる

そこで、現在徐々に普及してきているのが「有機EL」です。

有機EL

有機EL(Electro Luminescence)は、有機物が電気によって光るしくみを使ったディスプレイです。ある物質に光を通すと赤、別の物質に光を通すと青などと別の色で光るため、それらを並べて光を混ぜ合わせることで、ディスプレイを形成しています。

有機ELには、次のような特徴があります。

  • 構造が単純なため加工がしやすい
  • 光をまったく出さずに黒が表現できるため、黒が美しくなる
  • その構造により、消費電力が抑えられる

これらの特徴から、さまざまな特徴を持ったディスプレイが登場しています。

有機ELでできること

常時表示

有機ELを採用したスマートフォンでは、電源をスリープ状態にした後でも、時計やちょっとした情報などを常時表示しておける「Always On Display」と言ったしくみが採用されているものがあります。

これは、有機ELが「必要な場所にだけ電気を流せばよい」というしくみであるため、消費電力が圧倒的に少ないからこそ実現できます。液晶でこれをやると、バックライトが常に(黒い部分も含めて)点灯しているため、ものすごい電力を消費してしまいます。

薄型化

液晶の場合、スクリーンの後ろにバックライトが必要なため、どうしても多少の厚みがでてしまいます。しかし有機ELでは、薄くできるため、端末全体を薄く作ることができます。

大型化

液晶の場合はその仕組み上、どうしても端末の端の方まではディスプレイを作れず、枠の部分(ベゼル)を残さなければなりません。しかし、有機ELはぎりぎりまでディスプレイにする事ができるため、ベゼルを薄くしたり、ベゼルレスなディスプレイを作ることもできます。

折り曲げられる

バックライトのない有機ELは、加工にも強く折り曲げたりすることもできます。サムスン電子の Galaxyシリーズなどでは、フチの部分が折れ曲がったスマートフォンなども登場しています。

そしてスマホは折りたたみ式へ

こうして有機ELが普及し、(多少)製造コストも安くなってきたことから、いよいよ登場したのが大型有機ELディスプレイのスマートフォンです。タブレット端末なみの大きさのディスプレイではあるものの、折りたたんでスマートフォンとして利用することができます。

有機ELが拓く未来

有機ELディスプレイは今後もさまざまな分野への応用が期待されています。

完全なベゼルレス

「ベゼル」という言葉は過去のものとなり、ベゼルレスなデバイスが一般的になるかも知れません。

腕時計型ディスプレイ

折り曲げられるディスプレイは、腕の形に合わせて湾曲できるため、大型化・薄型化する事ができます。

透明ディスプレイ

透明ディスプレイ自体は、液晶でも実現されていましたが、構造的により簡単に透明にする事ができるため、メガネにディスプレイを搭載したり、車のウィンドウなどをディスプレイにする事もできます。

なんだか、よく見る「未来の世界」がいよいよ実現するのかも知れません。

今後の有機ELの活躍に期待しましょう。

この記事を書いた人

たにぐち まこと

『よくわかるPHPの教科書』や『マンガでマスター プログラミング教室』の著者。 ともすた合同会社で、プログラミング教育やこども向けの講座などを Udemyや YouTubeで展開しています。